#1 白い歯 黒木りえさん

 200字で終わらせてしまうために、最後の一文が、何かもうひとつ雰囲気があったらよかったと思う。

 

#2 サナトリウムと雨音 イツカさん

 描きようによってはものすごく綺麗にもなると思うし、あるいは汚く書くこともできる話かと思うんですけど、
 不完全というか腐りかけというか、もたっとしてしまっていると思います。極端さがあったらよかったかも。

 

#3 贖罪のやぎの死とヒポポタムスの悲劇 Shouさん

 こういう作品は好きです。子ども達の会話が堂々と中身がなく相当の字数を費やすのに意味があるってことなんでしょうか。
 何かが泣いている話は、受け止めた時点で自分の中での良し悪しを決定してしまうので、あまりつつけない感じです。

 

#4 椿 長月夕子さん

 確かに、瀕死の女、元気ですな。とはいえ、かぎ括弧の中に三点リーダーを乱発というのも困ってしまいそうなので、これで良いのでは…
 最後の一文がとても好きです。格好いい話だ…。よかった。

 

#5 タクシーは青春を乗せて 戸田一樹さん

 タクシーの中での会話の、妙な気まずさというのはしっかりと伝わってきました。
 ただ、タクシーを傘も差さず見送る、というのが唐突な気がしました。そそくさと降りたのに、というか。
 青春と言うにはしけっている気がして、タイトルの、雰囲気というのがどうも合致しないような。

 

#6 夏祭り とむOKさん

 楽しげです。私も楽しかった。勢いでも、いいんじゃないかしら。よかった。
 他に書くことがないんでここに書きますが、今期は女子ものがよいですね。

 

#7 しばらくよろしく、遠藤くん。 めだかさん

 これは輪をかけて勢いで1000字駆け抜けてる感じが。前回のを思い出してびっくりしたり。
 この勢いっていうのは悪い意味ではなく、すかっとしました。ただ、これでいってほしくはないなとも思ったり。

 

#8 taboo ザラメさん

 「言ってはいけないんだ」以降が急激によくわからなくなってしまい、そう言いたいだけちゃうんか感が沸いてきてしまった。
 前半は堂々としていてよかったです。劇らしい濃さで。
 この調子で描写できるなら、あるいはこの作風である必要もなさそうですけど。これだからこそなのかなあ。

 

#9 ステーキ 三浦さん

 「別れよう」「付き合おうか?」には空回り感が。
 でも「あなたって、わたしとは違う人だったのよね」はよかった。なるほど積み立てとしてなら。へえ、という感じで。

 

#10 オレンジの夜 直 未恕さん

 こっぱずかしいです。というかもうこれ読んでどうしろというのか…居づらさに似た何かが。
 私は一応おなごなのだが、たとえこの状況でもこんなことは思わない自信はあります。

 

#11 ワシ、天使 森栖流鐘さん

 どうにもピンときません。日本文化に天使が居たとも思えず、入ることが出来ませんでした。

 

#12 月魚 安南みつ豆さん

 全体読んで、この作品、評価がやたら高いです。ああもう。好きです。なので語るのはやめときます。

 予選で記名投票しました。ので参照リンク

 

#13 青を纏って 広田渡瀬さん

 情景はきっと美しいと思います。ただこの、妻というのが、妙に情緒なく感じられるのはなぜなのか。

 

#14 相田七丁目一番地 真央りりこさん

 コリーに何があったのかを語らないでいるところが、確かに語らずいるのが正しいのだとは思えますが、未消化感をつれてきていた。
 ペットショップやとか…。終わり際もなんだか複雑な感じで。死んだおやじさんに、似てると思うだけで気づかないのはよかった。

 

#15 寝汗 戦場ガ原蛇足ノ助さん

 これぞ短編って感じ。どうにもほっとしつつわくわくしたりして。
 夏の作品多いですが、なんだかんだ夏ってこういうののような気がしたりなあ。

 

#16 酷熱カプリッチオ 野郎海松さん

 九州弁ということでいいのでしょうか。いやもう男気は伝わります。
 が、なにしろ読めない言葉なので、とりあえず頷いてしまって沈黙して、えっ。みたいな余韻があったり。
 って、男気がこれだけ伝わればいいのではないかという気もします。というか、それでいいなあ。ハイ。ではそれで。

 

#17  ゆうさん

 前回と同じような語り口で女性を描いているというのを、素直に歓迎できてうれしい。
 松子さんもそうだったし、竹子さんも、どこかかわいい。悲しくて髪切ってるのにね。すてきでした。

 

#18 黒い郵便屋さん 巻さん

 大分ベタなんですけど、最後まで、へえ、ほう、えっ、と読んでしまいました。あらら。

 

#19 石をみて思うこと 宇加谷 研一郎さん

 こういう作品は好きです。ってさっきも書いたな…
 正直、もう少し気持ちなりなんなりになにかあってもいい気がします。淡々と語るのであれば特に。

 

#20 俯瞰 市川

 あ、これ首都圏とあまりなじみのない人はどう読むんだ。と出した後気づきました。

 

#21 伝言バー 江口庸さん

 …よくわかりません。半ばを過ぎたあたりから投げてしまいました。
 しかも一度弾かれてしまうととっかかりのないような書き方だと思います。

 

#22 風の惑星 朝野十字さん

 キスにしろなんにしろ、カユイよーとも思ってたんですが、これもなんといっても楽しげで。
 舞台設定と読んで受ける文の雰囲気とが合致していて、とても気持ちよく読めました。

 

#23 宿命 桑袋弾次さん

 もう相変わらずなにがなにやら。それでも、親って結構、大変なのに、ランドセル背負わせて家おっぽり出したりするんよなあとか
 マナちゃんにそんなようなことを思ったり。安易にも好感度が上方修正。こういうふうな、ぽんって置いてけぼり感ならよいかも。

 

#24 しあわせのかたち 久遠さん

 どうしようもなさそうで意外と、そうなんだ、と納得するのが私には正解だと思う。
 ただそれがつまりしあわせのかたちってことにするには、カタカナ語の意味が大分薄まってしまってそうな。

 

#25 ブレイクダウン 西直さん

 よかったです。なんだか、こういう環境の子の気持ちはわからないけど、不思議に魅力的に感じさせられたあたりが。
 きっと夜になっているのに、アバウトにその場で寝こけていられてしまう環境の子どもというかなあ、ううん。
 読み終わった直後というより、後から思い出すタイプの余韻のある話だと思った。

 

#26 パレード 川野直己さん

 大分触れにくい作品ではあると思います。感傷的と自己申告されてもいるので、なんとなく目を逸らしたくなって、
 それでも読む際に相変わらず背筋を伸ばさせられてしまうので、苦い顔して見ていなくてはならなくなってしまって困った。
 あるいは単に私の器が足りないのではないか。くすぶる。

 

#27 弟の郵便 海坂他人さん

 確かめることはも何もといった感じはあるわけですが、私の場合ベース弾きというのを見るだけで親近感を覚えてしまうわけで
 ついつい知り合いの話を適当に聞くような読み方をしてました。そういうのがうっかりぺらっと楽しかったりもするのは面白い。
 海坂さんの作品にはかならず引力か斥力のどちらかが働いているように感じる。

 

#28 夢日記 神崎 隼さん

 なるほどというにはつくられていて、そうですかというにはつき離されていないので、
 どう反応すればよいかわからない作品。取っ掛かりがないのとは逆で、取っ掛かってしまってから途方にくれるような。

 

#29 拾捨 くわずさん

 それを言ったらこれこそ途方にくれてしまった作品なんですが、
 これは途方に暮れさせられているのが作品によるたしかな印象であるので意味が違います。
 青を纏ってと逆に、妻の存在が実にしっかりとしているのもなんとも恐ろしい。

 

#30 帰路 五月決算さん

 結局駆けて戻ってしまうのだから、しかたないもんです。逆に下の子の鷹揚さには時々びっくりさせられたり。
 と言っても、どうも何か引っかかって、生き生きしているなどという感じを受けなかったのは、
 私の周りの下の子には、上の子の顔色を一生懸命伺っていた苦労人タイプが多かったからかもしれないと思ったり。

 

#31 燃えていく るるるぶ☆どっぐちゃん

 タイトルを見て「やられるかな」と思ったのですが、そういった方向ではなく、特に小道具の羅列という印象。
 どうせならあと数歩、向こう側に行ってしまってほしかった。

 

#32 夕間暮れ 曠野反次郎さん

 今回、そのとおり実にこちらにも気持ちのゆらゆらする感覚があった。揺曳なんて思いつけたらいいなあとか。
 神様には必然性があるのですかねと書こうとして、あるかもしれないという気になった。なるほど、ゆらゆら。
 いつもとは大分違う類の点が混ざっていると思います。それがこちらの急所に落ちているのに勝手に驚きました。