#19 耳を噛まれる (短編15期 / 過去作品を読む)
この作品を初めて読んだのが、帰りが遅くなって、もうすっかり明かりの少ない三好の夜道を
ふらふら自転車漕ぎながらだったりした(携帯)というのは、始めに書いておきますけど。
上段の、すべてが夜の中にしっかり浸かっていて、夜中に明かりを落とした後や、
急に目が覚めたとき、頭の中身は確かにこういうふうに動くんですよね。
この作品で静かに語られていることが、私にはほとんど翻訳の必要がなくて、
なるほど、そういうことを考えられたのですかとまったく素直に、ちょうど夜中の頭の回り方で
するする読み込んでしまい、それ以上にもそれ以下にもなりようがなくなったような。
位置の近い感じ。あと、年齢についての語り方、すばらしいと思います。
中里さんとは、是非お話をしてみたかった。
この作品が、それに触れていることで、作品について書きにくかったのかも(票につながるよね)
とも思うんですけども、人が亡くなられることについて、私たちはとても様々なことを考えるし、
そこからのつながりで、年齢のこと、お祖父さんのことまで雰囲気を渡してゆくような、
すごく自然な満ちた話題であったような気がするんです。はい。私はとても好きな作品です。
「盂蘭盆」うまいなあと思う。読後感がほんとの雨上がり。
「人の声にその本性が顕れることについて」オチのある随筆っていいなあ。さすがです。
「脱皮」毎度言うところのにやにや系。面白かった。ああ、私はとても淑女などとは。
#22 お金の話 (短編23期)
すとんと入ってくる。淡々とした言葉に隙がない。しかもそれが納得できる方向へ、いい方にいい方に行く。
で、すとんと終える。すごいのは、何度読んでもそうなることだと思います。
作品自体が、自分から安定する位置を見つけてしまったような感じはあります。ほどよくピラミッドのあのへんというような、あまり頂上君臨しようと思ってなさそうな、
そういうとこが好きなんだけど、それが理由で手放しでほめにくい。
#27 弟の郵便 (短編25期)
確かめることはも何もといった感じはあるわけですが、私の場合ベース弾きというのを見るだけで親近感を覚えてしまうわけで
ついつい知り合いの話を適当に聞くような読み方をしてました。そういうのがうっかりぺらっと楽しかったりもするのは面白い。
海坂さんの作品にはかならず引力か斥力のどちらかが働いているように感じる。